在宅復帰の進め方を教えてください。

なかなか家族が引き取ってくれず、やっと退院しても、すぐほかの病院に移っていることも多く、がっかりしています。家族の気持ちも分かりますが、お年寄りの「家に帰りたい」という気持ちを知っているだけに残念です。

在宅より「地域」に復帰しましょう

お年寄りたちは「家に帰れる」という希望があればこそ、痛い注射に耐え、苦しいリハビリを我慢して頑張ってこれたのです。でも、家族だけでお年寄りを介護していくのも大変ですから、在宅復帰はほんとうに難しいことです。帰っても家の中で何もすることがなく、寝たきりになっていくこともあります。そうなると生きている実感も薄れていってしまいます。

そこで、在宅ではなく地域に復帰しよう、という発想に変えてみてください。家族のもとに帰すだけではなく、地域の人たちの中にも帰ってもらいましょう。家族だけで介護をしていると、関係が煮詰まってしまうからです。

週3回デイサービスに通えるなら、なんとか家でみることができる家族もいるでしょう。もう1日ヘルパーさんが来てくれるなら、なんとか持ちこたえられる家族もいるでしょう。さらに、毎日昼間だけ預かってくれるところがあれば、在宅で介護し続けられる家族はもっと多いはずです。 介護保険制度とは、そのためにあるのです。最大限に活用してください。

デイサービスに通ったりヘルパーさんに来てもらったりできるように、まずはケアマネジャーさんに相談してみましょう。 それだけでは不十分なら当事者たちだけで社会資源を作ってしまいましょう。周りに同じようなお年寄りを介護している人がいれば、5人で誰かの家に集まるだけでもいいんです。

5人のお年寄りを2人でみていれば、そのあいだに他の3人は骨休めができます。 こうした家族の自発的活動が、介護保険の事業所に発展している例もたくさんあります。利用料を払う立場から介護報酬をもらう立場に変わったのです。