家族が寝たきりを歓迎しています。。。。

寝たきり老人のいる家庭を訪問していますが、工夫をすれば立ったり歩いたりしてもらえるケースがたくさんあります。でも、家族から「動き回ると大変だから」といわれます。特に認知症老人の場合は、「徘徊が心配がなくなるので助かる」と言われ、それ以上の言葉が返せません。どうしたらいいでしょう。

本当のニーズを見極めましょう。

もし、家族が老人を寝たきりにさせようとしているなら、私たちは次のように説得せねばなりません。

「寝たきりになると楽だというのは噓ですよ。目の届くところにいるから、ある面では楽かもしれません。でも、自分の親が少しずつ弱っていくのを見るのはつらいものです。亡くなったあとまで後ろめたさが残るし、自分が年をとっていくことまで怖くなりますよ。介護が大変なのは分かりますが、寝たきりにしないで少しでも楽に介護できる方法をいっしょに探ってみませんか」

「認知症者のストレスは、歩くことによって解消されているんですよ。歩けなくなってもベットでゴソゴソすれば、解消されます。危ないからといってベットに手足を縛られてしまうと辛いですよね。寝たきりにしないでなんとか介護していく方法をギリギリまで探ってみませんか」

このように、職業として老人介護を担っている人たちが、前向きな方法論をいくつも家族に提示し、実践してみせる必要があります。しかし、残念なことに私たちは、多くの方法論を共有しえてはいません。だからといって、最初からあきらめて家族の一方的なニーズに同調するのは、リンチの共犯者になるようなものです。

「老人がダメになってもいいから楽をしたい」というふうに見える家族でも、「老人をイキイキさせてやりがいのある介護をしたい」という思いをもっています。その本当のニーズを読み取るのも、介護に携わる人の特にケアマネジャーの仕事になります。

「介護施設にいれたいのですが」と能面のような顔で相談に来ていた家族が、「家で介護してきてよかった」と笑顔を見せてくれることがあります。本人と家族の本当のニーズに応える道を見つけていきましょう。