もしものときの延命治療はどうする????
子が判断を迫られる?
もし、病気や事故により現在の医学による治療では回復が見込みないような事態になったら、どうすればいいでしょう?親を看取った子から「延命治療の希望有無を親本人に聞いておけばよかった」という声を聞くことがあります。心臓マッサージや人工呼吸器の装着、胃ろうなどの経管栄養の措置を行うかどうか。
そのとき、親に決定するだけの力は残っておらず、医師から子に判断を迫られることが一般的です。決めかねて、医師に「延命措置をしないとどうなるのですか」と聞いたところ、「餓死して亡くなる」と言われた人がいました。本人の意思が不明な場合に難しい選択肢となります。
兄弟がいる場合、意見が分かれることがあります。「一日も長くいきたい」という意見と、「管だらけになるのは、かわいそう」という意見が出た場合、どちらを選ぶのも悩ましく、感情的にもつれて、後々しこりが残ることもあります。
病院から問われて「心臓マッサージくらいはしてほしい」と医師に告げたという子どもがいました。ドラマなどでよく見かけるシーンだったからです。しかし、実際の心臓マッサージは強い力で圧迫するので、肋骨が折れることがあります。「最後に痛い思いをさせて申し訳なかった」と大きな悔いを残していました。
元気だからこそ聞ける内容。
穏やかに生活している親に「延命治療はどうしたい?」と唐突に聞くと「縁起でもない」と不快にさせるかもしれません。けれども、入院している状態だと聞きづらいものです。
本人は「死期が迫っているのだな」と据えるでしょう。
そこで、まず「自分自身だったらどうだろう?」と考えてみることをおすすめします。一方的に聞くのではなく対話をするのです。「私(僕)は、もしものときここまでの治療は希望するけど、お父さん(お母さん)はどう?」という風に。
最後の希望を書いておく書面を「事前指示書」と呼びます。インターネットで検索するとひな形がいくつも出てきます。それを見ながら、親と話し合ってもいいでしょう。
日本尊厳死協会に入会したり、公正証書にしておく方法もあります。
また、ある程度の年齢になって(心身が弱っている状態で)入院したり、施設に入居したりするときには、最初に希望を問われることが珍しくありません。急変したときに、家族が来るのを待つ時間がないことがあるからです。
そうしたタイミングで聞くのも方法ですが、「病院で死ねるのだな」とさびしい気持ちにさせることも考えられます。やはり、元気なときに聞くほうがいいように思います。
聞いておきたい最期の治療内容
①生命維持のため最大限の治療を希望する(心臓マッサージ、人工呼吸器など)
②最大限の治療までは希望しないが、継続的な栄養補給を希望する(胃ろうなど)
③継続的な栄養補給は希望しないが、点滴など水分を維持する程度は希望する
④延命治療は行わず、自然にゆだねる
⑤延命治療は希望しないが、痛みは取ってほしい