顔も見たくない親の介護をどこまでするか?
同居は避ける
世間には「老いた親の介護を子がするのは当然」という考え方が存在します。しかし、親子にはそれぞれの歴史があり「親の介護なんてできない・したくない」と思っている子も少なくありません。例えば、幼いころに親から虐待された子。虐待とはやや性質が異なりますが、「毒親」という言葉もあるように、親の支配のもとに苦しめられた子もいます。
その親に介護が必要になったら、、、、。毒親として子を支配していた親は子のコントロール方法を熟知しているため、自分の介護をさせようと近づいてくるかもしれません。虐待や毒親とまではいえないケースでも、何らかの事情で、「顔も見たくない親」が要介護になったら?
まずいえるのは、「同居は避けたほうがいい」ということです。「親も年老いて、丸くなっているのでは?」と思いたいところですが、通常、そういうタイプの親は変わりません。同居はしないで、可能な限りサービスを利用してもらいましょう。施設に入ってもらうことも考えましょう。地域包括支援センターに行き事情を説明し、相談してください。
あとは、「どこまでできるか?」を自問自答してください。「月に一回なら、顔合わせることができる」と思うならそのようにすればいいし、「顔を合わせるのは無理」と思えば、入院・介護の手続き面だけを引き受けるという選択肢もありです。
なかには、親と会おうとすると動悸がして動けなくなるなど、適応障害となっている子もいます。そのような場合は、「かかわらない」という選択も致し方ないと思います。それでも、「親を看ない自分に対する罪悪感が苦しい」という場合は、一度だけは、親の住所地を管轄する地域包括支援センターに行って、自分に事情を話して置くといいでしょう。
嫌だからと放置すると、保護責任者遺棄に
相当な過去があるのに、無理に介護を引き受けると、弱った親を仕返しのようにいじめてしまう(高齢者虐待)こともあります。
一方、本当は顔も見たくない親と、すでに同居しているケースもあるかもしれません。「もう、嫌だ」と思うこともあるでしょう。だからといって、日常的に介護してきたのを急に放置すれば、保護責任者遺棄に問われかねません。
逃げたくなった場合には、必ず、行政につないでください。地域包括支援センターや担当のケアマネージャーにその旨を話せば、最悪の事態を避けるために、緊急枠でショートステイを利用できるようにするなど、検討してくれると思います。そうすれば、遺棄になりません。くれぐれも抱え込むのは危険です。